« 九寨溝(キュウサイコウ) | トップページ | 避邪獣 »

黄龍(コウリュウ)

2004年6月26日(土)  6:20起床、窓から外を覗くと、チベット族の人々が道路をぞろぞろ九寨溝の方角へ歩いていく。皆貧しく、結構距離があるが徒歩通勤である。相変わらずの朝食、羌族料理は香辛料がきつく口に合わない。朝食を終えて部屋に戻るとカードキーで鍵が開かない。  レセプションの女性は日本語も英語も通じず、ガイドの張さんを呼び出して事なきを得る。 4つ星ホテルでも奥地はまだまだである。8:30バスで出発、黄龍まで130km余、好天である。道端に立ち笑顔で手を振る若い女性はヒッチハイカー、公共交通機関のバスが一301日2本と不便なため、毎朝通勤のために観光バスを捕まえている。我々のバスも羌族の美人姉妹を乗せる。27歳と19歳、二人とも乗車賃代わりにチベット族の歌を聴かせてくれる。9:25海抜3,500mの峠で小休止、その辺りが岷江源流部とのこと、外へ出るとさすがに風が涼しい。道は良いが峠越えの連続で雪峰が次々と現れる。朶米寺という集落で羌族姉妹は降りる。そこの土産物屋の売り子として夕方まで働くと言う。 周囲は畑で青稞麦(チンクウムギ)が密に生えている。チベット族の主食ツァンパの原料である。雄大な景色が続き、中には妙義山のような峨々たる山もある。10:05川西寺に着く。そこの西部地礦なる店でトイレ休憩、岷江特産の二色石を彫り上げた魔除け、避邪獣一体を購入する。 「便宜一点」(Discount please!)と書いた手帳の頁を示し、粘りに粘って大分安くしてもらう。川西寺は昨秋空港が開港して以来急速に発展したらしく、この辺りでは大きな街である。専門店で酸素ボンベ(14リットル、純度99.5%)をひとり2本ずつ購入し、黄龍における高地観光に備える。302一本50元、約10分間は使えるそうである。 いよいよ最高所の峠越え、ぐんぐん登る道の両側斜面にヤクが群れている。長い毛並みが風になびいて美しい。海抜3,500mでも針葉樹がまばらに生えており、橙色の花粉をびっしり付けている。行く道は高原ハイウェー、草津白根道路を何倍か雄大にした感じである。今回の旅の最高点である弓杠岺峠に着く。標高は3,840mで既に富士山の高さを越えている。岷山山脈の主峰、雪宝頂(5,588m)を望む望岳台であるが、残念ながら今日はガスがかかり見えない(写真は2004年8月20日の雪宝頂)。 土産物屋がありトイレ休憩、外へ出ると寒い。12:05黄龍着、先ずホテル黄龍山庄のレストランで腹ごしらえする。豆乳、大根角煮、茹でキャベツに白菜と赤蕪の漬物など野菜中心のメニュー、あっさり味で食べやすい。黄龍は高所 (3,100~3,500m)で体力等個人差が出るため、各自のペースでばらばらに観光することになる。303 13:05出発の17:30ホテルロビー集合と決まる。入場料は110元、 そこでもパスポート提示を求められる。中国の世界遺産見学はまことにやかましい。酸素ボンベを携えながら歩き出す。針葉樹の喬木は紫果雲杉と岷江冷杉、林床にはアツモリソウやサクラソウが群生する。池子と呼ばれる小池が棚田状に並ぶ石灰棚地形は奇勝である。13:22迎賓池、上山桟道を登る。きわめて緩やかな登りであるが 息苦しく時々酸素を吸う。吸った途端に身も心も軽くなるから不思議である。13:30飛瀑流輝、竜頭の滝のようである。13:40洗身洞、酸素ボンベの変わりに空気枕持参の人も多い。13:45金沙舗地、世界最長の石灰化浅流とのことで、黄色の川床をうねうねと流下する様はまさしく「黄龍」である。13:55盆景池、330余の小池の集まりである。306無料で酸素を吸える小屋(酸素バー)は大行列である。14:10明鏡倒映(標高3,300m)、180の小池の集まりで、鏡のような水面に雲が映る。グミの木の花が咲いている。14:15娑夢映彩池、400余の小池より成り躑躅の木が多いとのこと、確かにシャクナゲが満開である。 14:25争艶彩池、チベット族の駕籠かきがお客を乗せて登るスピードはもの凄い。当方が酸素を吸ってもついていけない。14:45黄龍中寺(標高3,400m)、シャクナゲ道が続きリシリオウギやノウゴウイチゴ(近縁種)も咲いている。雲が厚くなりポツリポツリ雨が降り出す。 シオガマやミヤマアズマギク(近縁種)、紫花のヒメツツジが咲き、まるで高山植物の図鑑を開いているかの様、花を鑑賞するなら今がベストシーズンである。15:05黄龍上寺(標高3,500m)、漸く妻に追いつく。15:15最奥の東屋、もう一段高いところにも四阿が見えるが遊歩道はついていない。304眼下に五彩池と黄龍上寺を望むビューポイントである。 証拠写真を撮り下山にかかる。 酸素ボンベを早くも1本使い切って2本目に手をつける。頭がフラフラし意識朦朧となる。酸素を吸い吸い下山桟道を下って、16:50黄龍入口門に戻る。17:00ホテルロビー着、結局一行14名のうち11名が最上部まで登ったとのこと、70歳の長老も元気である。頭痛が始まったので二人でバファリンを飲む。再びバスに乗り県城の松藩へ向う。往路の弓杠岺峠を再び越える。四川省の奥地は山また山、3,000m位では名前すらつけてもらえない。所々に採蜜の巣箱が置かれている。川西寺から岷江右岸を降る2級国道に入る。2級の名の通り、道路は洗濯板のようでバスは大揺れに揺れる。四川の母なる川は土砂で濁っており、その河岸段丘は青稞麦とソラマメの畑、耕して天に昇る風景が延々と続く。18:35松藩の街に入る。海抜は2,800mほど、ここでもホテルの建築ラッシュはすさまじい。空路が開け世界中から観光客が来るのであろう。今宵の宿は3つ星ホテルの黄龍国際大酒店、夕食は鯉の旨煮にもやしとササゲの炒め物、肉じゃがに椎茸と豚肉の炒め物、ありふれているのが有難い。青稞酒(モルトリカーの如し)を飲むとこれが甘ったるい。夜ブレーカーが二度落ちて、ルームメイドがろうそくを持ってくる。手慣れたもので、さすがに中国の奥地である。(続く)

|

« 九寨溝(キュウサイコウ) | トップページ | 避邪獣 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 黄龍(コウリュウ):

« 九寨溝(キュウサイコウ) | トップページ | 避邪獣 »