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湯西川温泉

2008年7月27日(日) 5:30起床、曇天。朝食を済ませてから7:26のバスで北小金駅に出る。8:15上野駅着、早過ぎるので周辺を一回りする。国立西洋美術館では「コロー展」をやっている。寛永寺輪王殿の前を通り集合場所の上野公園駐車場に行くと、クラブツーリズムの各方面行きバスがずらりと並んでいる。受付を済ませ、湯西川温泉行きの観光バスに乗り込む。同行のメンバーは42名で大型バスはほぼ満席、最近の燃油サーチャージやガソリンの高騰により一般市民の旅は安近短が主流、温泉一泊バスツアーにシフトしているようである。バスが動Dsc09087き出すと直ぐに缶ビール(のどごし生)を飲み始める御仁もおり、皆旅慣れている。扇大橋入口から首都高に入り東北道を走る。10:00佐野SAで休憩、道路公団が民営化されてからSAの雰囲気がぐっと良くなる。館内は仲見世風に改装されておりこれなら買い物が楽しい。 10:40日光宇都宮道路に入る。このところ寝苦しい夜が続いたせいか、バスの心地好い振動に眠くなる。11:30龍王峡市営駐車場着、50分のフリータイムになる。殆どの人は滝見茶屋へ予約のお昼を食べに行ったが、せっかくの機会なので「全国観光地百選・渓谷の部第5位」の龍王峡を見物することに決める。これまで何度も会津西街道を車で通ったが、龍王峡を見物するのは今回が始めて、遊歩道入口にモニュメントと矢島市郎の句碑(「旅の字は風に吹かるる姿なり」)が建っている。矢島市郎(俳号は矢島三嵩史) は日光国立公園のレンジャー第一号であり、日光博物館館長を務め、 山仲間から「日光の山の神様」と慕われた人である。Dsc09094そういえば日光太郎山の旧ハガタテコースの入口に建つ句碑(「白樺は月が夜来て晒すらし」)も氏の作である。虹見滝の観瀑台に降りると五龍王神社が建つ。ご神体は高さ30㎝にも満たない竜王神(弁天様)らしく、もともとは高原山山麓の弁天沼畔に祀られていたもの、幾多の変遷あって当地に遷座し、川治温泉の守護神として崇敬されている。ご神像の台座には文政八(1825)年、宇都宮明神前の仏師、高田運秀・喜代助親子の合作銘が入っているとのこと、比較的新しいものである。残念ながら扉が固く閉まっていてご神体は拝めない。竜王峡の名称もこの神社に由来するとのこと、滝の名も元は「夜鷹遊ばせの滝」であったものを、上品な「虹見の滝」に改名したらしい。水しぶきがあがり涼しい。虹見橋の上から竜王峡の上下を眺めて引き返す。水量こそ少ないがさすがに見事な渓谷美、川治温泉までの3時間コースを紅葉の時期にでも歩いてみたいものである。 12:20再びバスに乗り出発、川治温泉から先は湯西川ダムの取り付け道路工事が盛んに行われている。五十里ダムがあり、その上流に川治ダムがあるのに、更に上流に湯西川ダムを建設すると云う。本当に日本は土建国家でDsc09205ある。13:00今宵の宿伴久ホテル到着、レセプションには㈱観光経済新聞社主催の人気温泉ホテル250選に選ばれたことを示す5つ星ホテルの認定証が燦然と光っている。平家直孫二十五代当主が経営する宿である。湯西川平家は平忠房に連なる血筋らしく、「伴」という苗字も「平の人」を意味する「伻」の文字を「伴」へと変化させたものである。部屋には15:00まで入れないので、ホテルの送迎バスで「平家の里」を見学に行く。平家の里は昭和60年完成の所謂テーマパークの一種で、築300年の古民家を数棟移築保存している。 古民家は、平家落人集落の風俗習慣を伝える民俗資料館(調度営みどころ)、平清盛、敦盛像や武具、甲冑を陳列する展示館(床しどころ)、伝統芸能や民話伝承に活用される郷土文化伝習館(種々伝えどころ)、食堂(餉の館)、生産物直売所(よろず贖どころ)に分かれる。バブル全盛期にオープンした施設の例にもれず、客足が遠のいた今は維持管理が大変そうである。民芸館に並べられた民具も、釜、鉄鍋、蒸籠、お櫃、分Dsc09204銅秤、臼、杵、金具付き和ダンスなどで、ついこの間まで仙台の実家に存在したものばかり、湯西川平家集落に特有のものともいえず珍しさを感じない。 下関赤間神宮から分祀したと云う敷地最奥の赤間神社にお参りしてから、郷土文化伝習館で平家物語琵琶演奏を聴く。平家物語の一節を薩摩琵琶で弾き語りするのは平桜子こと桜井亜木子さん、平家の姫君が源平の昔からタイムスリップして来たかと見紛うばかりのたおやかな美人である。湯西川温泉の標高は750m、例年なら夏の最高気温も25度止まりの山峡であるが、今年は異常らしく結構蒸し暑い。15:00迎えのバスでホテルに戻る。ちょうど大雨が降り始める。545号室は10畳の和室、緑濃い湯西川渓谷を眼下に望める。夕食まで何もやることがないので温泉へ入りに行く。大浴場は総檜造り、ヒノキの香りが床しく漂う。泉質はアルカリ性単純泉、pH9.5、無色澄明で少しぬるぬるする。18:00から平家落人亭3号館で囲炉裏会席の夕食をとる。Dsc09206 室内には沢山の囲炉裏がきってあり、岩魚とトウモロコシを焼く炭火の熱が暑い。その上、お膳の上にもしゃぶしゃぶとすき焼き用のコンロが燃え、室内はまるで釜茹でか蒸し風呂のような有様、お気に入りの浴衣でおめかししてきた女人達は汗で化粧が崩れ、皆本物の平家落武者のような顔になる。献立は食前酒の山桃酒に始まり、前菜がわらびからし漬とフロマージュと合鴨ロースト、お造りが鹿肉たたき、焼物は岩魚串ととうもろこし串、温物は伴久木ノ子すきやき、口代りは平家湯葉しゃぶ胡麻ダレ、蒸物は豆乳蒸し・よもぎあんと八汐鱒アルミ蒸し、凌ぎは山菜そば、鍋物は伴久落人鍋、御飯は竹の子ごはん、香ノ物は三色盛、水菓子はサクランボとグレープフルーツ、こう書いてくると豪勢な山の珍味揃いのようであるが、普段から山菜や野生きのこを食べているせいか余り新鮮味を感じない。これは一種不幸なことであろう。雨も小降りになったので酔い覚ましに温泉街で行われる「竹の宵祭り」に出かける。山から冷気が下りてきて、さすがに夜は涼しい。ロウソクを灯す竹筒照明が雨で使えないため、幻想的雰囲気は味わえないものの、本家伴久萬久旅館若女将の着付け舞などを鑑賞する。ホテルに戻り露天風呂に行くともう誰もいない。湯西川の瀬音を聞きながら湯に浸かり命の洗濯、今日無事に感謝する。

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