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千葉市美術館開館15周年記念特別展「田中一村 新たなる全貌」

Photo 2010年8月28日(土) 田中一村(1908-1977)は栃木県下都賀郡栃木町(現栃木市)生まれ、生前は全くの無名の画家であり、晩年の19年間を過ごした奄美大島で不遇のうちに69歳の生涯を閉じているが、昭和59年(1984)にNHK教育テレビの美術番組「日曜美術館」に取りあげられ、「黒潮の画譜~異端の画家・田中一村」として放映されてから一気に注目を浴びるようになり、翌年には全国を巡回する展覧会が開催され、大型画集が出版されるなど一躍人気画家の仲間入りを果たしている。中央画壇に背を向け、世間に迎合せず、独自の道を追及した孤高・清貧の生き様が、当時の人々の共感を呼び醒ましたのであろう。今回の特別展は、平成20年(2008)の生誕100年を機に、一村ゆかりの地の公立美術館(千葉市美術館、鹿児島市立美術館、奄美・田中一村記念美術館)が、一村芸術の全貌を明らかにするべく協同研究チームを立ち上げ、この2年間活動してきた成果を世に問うものである。既知の作品はもとより、全国に散逸する未知の作品を調査・収集・整理・考究し、本展では250点に及ぶ作品を、「第一章 東京時代」、「第二章 千葉時代」、「第三章 奄美時代」として展示してある。いつの時代の作品をも貫く主題は、生命のいとおしさといったものであり、それは後年の作品ほど明瞭になる。代表作とされるのは、66歳の時描かれた《不喰芋と蘇鐵》と《アダンの海辺》であり、一村自身も「これは一枚百万円でも売れません これは私の命を削った絵で 閻魔大王えの土産品なのでございますから・・・」と語っていたと云われる。確かに奄美時代の作品にはデフォルメされた動植物が画面一杯を覆い尽くし、生命の濃密さが強烈に表現されているが、ともすればやや息苦しい。むしろ、千葉市(千葉寺町)に住んでいた時に描いた農村風景は、いずれも叙情的であり、ほのぼのとした郷愁が感じられる。そこに登場する農民のひとり一人が実に個性的に描かれており、皆が一村の知人であったに相違なく、名もなく清く貧しい人々に寄せる一村の同情が見事に表現されている。入館料1,000円、納得の2時間。

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