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きのこ図鑑「増補改訂新版 日本のきのこ」

2012年2月14日(火) きのこの同定で日頃一番お世話になっている図鑑の新版が出たので楽天ブックスにネット注文して取り寄せる。価格は税込み8,400円也、1988年発行の旧版の2倍近い値段である。特殊な図鑑であるので、この程度の値段は止むDsc04339を得ないとしても、23年振りの改訂にしては新規収録種が僅か16種と淋しい。主たる改訂点は、従来の形態的特徴による分類から、DNA解析による分子系統樹の作成とそれに基づいた分類(以下DNAによる分類と略記)に変更した事にあり、それに伴う新称も含めた目名、科名、属名の変更に置かれている。種の分類の切り口は色々考えられるので、どれが正解と云うことはないが、何となく作り手側の理屈を押し付けられるようで素直に肯けない。労作であることは認めるが、研究者の専門書ではないので、もっと使い手側の視点に立った図鑑作りが必要であろう。又、DNAによる分類はまだ発展途上であり今後も尚流動的、これを極端に進めると全てのきのこが一科一属一種になりかねない。まあ、分類など余り気にしないで一種類づつ覚えていくしかないのであるが。更に、新版と旧版で写真が殆ど同じ点も不満のひとつ。差し替えられた写真は27枚あるが、差し替えにより必ずしも品質が向上していない。誤同定の4種、テングタケ(←旧版の写真はイボテングタケ)、キカラハツタケ(→別種のヒロハチャチチタケへ)、トドマツオオウズラタケ(別種のヤマトオシロイタケへ)、ダンアミタケ(別種のニカワオシロイタケへ)の差し替えは当然であり、また、オオシロアリタケ、オオシロカラカサタケ、タマノリイグチ、クロニガイグチ、クリカワヤシャイグチ、ミヤママスタケ、ムラサキヤマドリタケの7種の差し替えは妥当と見るが、オリーブサカズキタケ、ムレオオイチョウタケ、ハイイロナメアシタケ、ヘビキノコモドキ、ハイカグラテングタケ、クロトマヤタケモドキ、ツバアブラシメジ、キイロイグチ、ヌメリコウジタケ、ニセアシベニイグチ(裏面)、モエギアミアシイグチ、オオクロニガイグチ、ニガイグチ、キクバナイグチ、ヒメシワタケ、ウスムラサキハツの16種は何のための差し替えか、旧版の写真と五十歩百歩、寧ろ改悪もある。ツチスギタケの写真も怪しいのでは。もう一つ、標準和名の変更もいまいち腑に落ちない。誤同定と云うオリーブサカズキタケ(←ヒダサカズキタケ)、フチドリベニヒダタケ(←クロフチシカタケ)、コミノカワタケ(←カワタケ)、キヒモカワタケモドキ(←キヒモカワタケ)、オオカボチャタケ(←アカゾメタケ)、ヒロハノキカイガラタケ(←キカイガラタケ)、コガネカワラタケ(←スルメタケ)、タバコウロコタケの一種(←エビウロコタケ)、シロキツネノサカズキモドキ(←シロキツネノサカズキ)は仕方が無いとしても、又、タマチョレイタケ(←アミヒラタケ)、アイカワタケ(←ヒラフスベ)、ワライタケ(←ヒカゲタケ)、ウメハルシメジ(←シメジモドキ)、チャイボタケ(←イボタケ)もDNAによる分類の成果かもしれないが、ツエタケがブナノモリツエタケでビロードツエタケがコブリビロードツエタケはないのでは。名前が長く覚えにくくなるばかり、ツエタケ(広義)とかビロードツエタケ近縁種とか定義ははっきりしないが接尾語を付加するほうがまだましに思う。最後に、キシメジとシモコシが猛毒種になっている事が解せない。日本国内で本種による死亡事故が発生した事例があるのだろうか、或はそれこそDNA解析で外国で死亡事例を引き起したというTricholoma equestreと同一種という結果が得られたのであろうか。昔からキンタケとして珍重され、広く食用に供されてきた事実と余りにもかけ離れている。  

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コメント

ご無沙汰しております。いよいよ新しい春になり、トガリアミガサタケなどももうすぐですネ。
学会や大学の紀要などに発表されて図鑑に出ていないきのこはたくさんあるのに、わずか16種とは本当に切ない限りです。わたしのような底辺のきのこ愛好家を思いやる菌学者がたくさん出ることを祈るばかりです。

投稿: Y.K | 2012年3月 1日 (木) 21:15

Y.K様
いつもご訪問ありがとうございます。小学生の昔から慣れ親しんでいるキンタケ(シモコシ)には強い思い入れがあるために、猛毒種に分類されたショックの余り、つい筆が走り過ぎました。お恥ずかしい限りです。きのこの世界(領域)はプロ(研究者)とアマチュア(愛好家)の垣根が非常に低いので、アマチュアの手を広く借りるようにすれば、網羅性があり、使い勝手が良く、且つ綺麗な写真を揃えた素晴らしい図鑑ができるように思います。

投稿: shikamasonjin | 2012年3月 2日 (金) 18:57

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