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湯殿山注連寺(鶴岡市)

2013年8月17日(土) 森敦の名著「月山」を読んでから一度は訪ねて見たいと思っていた寺院、湯殿山注連寺(ちゅうれんじ)、仙台に帰省した序に訪ねてみる。大林寺の墓参を済ませ10:40出発。仙台宮城ICから東北道に乗り、村田JCから山形道にDsc02799入る。月山IC出口は5㎞の大渋滞、鶴岡方面の国道122号線が混雑。13:50湯殿山注連寺到着、境内の本堂前に車を駐める。標高は約400m。門前の七五三掛(しめかけ)集落は2009年に発生した大規模地滑りにより大きな被害を受け、同年中に取り壊されてしまったとのこと、今は一面に草地や青田が拡がる。同集落は2008年公開の映画「おくりびと」のロケ地でもあり、是非、地区の佇まいを見たかったのだが間に合わず。注連寺は天長十年(833)空海により創建されたと伝えられる真言宗の古刹である。湯殿山派4ヶ寺(他に本道寺、大日寺、大日坊。但し、現存は注連寺と大日坊のみ)の中では最もDsc02785古く、江戸時代までは湯殿山参詣道の七五三掛口に位置し、注連寺から先が結界とされて女人禁制(湯殿山の解禁は明治十年(1877))だったため、「女人のための湯殿山参詣所」として信仰を集め、周辺の宿坊とともに大いに隆盛を極めた。また、慶応三年(1867)には函館に注連寺出張所(現新注連寺)を開くなど、東国はおろか北国にいたるまで広く知られた大寺であった。しかし、明治維新後の廃仏毀釈により、湯殿山を含む出羽三山がいずれも神社になると、湯殿山参詣所としての注連寺の役割は急速に失われ、周辺の宿坊ともども次第に衰退し、破れ寺へDsc02796の道を歩む。明治二十一年(1887)の火災で本堂・堂宇を焼失し、現在の本堂は明治二十八年(1895)の再建である。そのような住職もいない破れ寺に、当時庄内地方を転々としていた森敦(1912-1989)が寄宿したのは昭和二十六年(1951)のこと、一冬を庫裡の二階で過す。その時の体験をもとに、森敦は注連寺と七五三掛を舞台にした小説「月山」を著し、1974年第70回芥川賞を受賞する。小説「月山」は映画化されるなどして人気を集め、注連寺も一躍世間の注目を浴びる。そして存在が再評価され堂宇の修復等が行われ、30年前から漸く現在の姿に復している。本堂にお参りすると、受付に座る女性から声がかかり、本堂内の説明付き拝観料は500円だが自由見学なら無料とのこと、有難く後者を選択する。受付Dsc02788の女性(住職の奥様?)は35歳前後の庄内美人、「月山」作中に出てくるあねちゃの面影がそこはかとなく感じられる。本尊の大日如来にお参りしてから一連の天井画を拝見する。故村井石斎画伯作の「飛天の図」、現代作家4人の作品、木下晋作「天空の扉」、十時孝好作「白馬交歓の図」、久保俊寛作「聖俗百華面相図」、満窪篤敬作「水の精」など。やはり古刹には「飛天の図」のような伝統絵画がふさわしく、後二者の格子天井絵は現代的過ぎて違和感を覚えざるをえない。厨子に納められた即身仏(ミイラ)の鉄門海上人(てつもんかいしょうにんDsc02795)にもお参りする。鉄門海上人は明和五年(1768)鶴岡市の生れ、二十五歳の時に注連寺第六十九世の寛能和尚の弟子となり、鉄門海の名を与えられて一世行人となった。上人の足跡は北海道から四国にまで及び、湯殿山信仰の布教に大きな業績を残した。そして、五穀断ち、十穀断ち、木喰など3000日にも及ぶ苦行を経て、弘法大師と同じ62歳で即身仏になったと伝えられる。森敦が滞在した時、鉄門海上人の即身仏は出開帳(他のお寺への貸し出し)中で寺内に無かったようであるが、その後戻ってきたのであろうか?、明治二十一年の火災の際も焼失を免れたということか?、どうもDsc02801よく分からない。本堂の東側と庫裡の北側には冬の雪囲いの名残の、荒縄で結わえられた木組みがそのまま残っている。本堂を辞去し境内を一回り。二階建ての大きな庫裡は当時のままではないであろうが、雰囲気は残している。庫裡の前に巨大な自然石の月山文学碑が置かれ、「月山 すべての吹きの寄するところ これ月山なり 森敦 昭和五十六年八月建立」と刻まれている。以前は境内に森敦文庫(1986年開設)も建っていたが、平成二十四年老朽化のため取り壊され、現在、資料の一部は鶴岡市の郷土人物資料館「大宝館」に移されている。樹齢二百年の天然記念物「七五三掛桜(しめかけざくら、種類はカスミザクラ)」があり、「木喰行者湯殿山鉄門上人」石碑、「高祖弘法大師一千五十遠諱供養塔」(明治十七年(1884) 湯殿山参詣三百五十度 酒田高野濱 森田三之助建立 六十七歳)などが建つ。14:30退出、もう一度「月山」を読んでみなくては。

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